更年期障害の治療としてホルモン剤投与を行うことがありますが、今回はそれができない(中止すべき)ひとについてお知らせします。

 

なお、内容はホルモン補充療法ガイドライン(日本産科婦人科学会・日本女性医学学会)を参考にしています。

 

禁忌症例(使ってはいけない)

  • 重度の活動性肝疾患
  • 現在の乳がんとその既往
  • 現在の子宮内膜癌(子宮体癌)、低悪性度子宮内膜間質性肉腫
  • 原因不明の不正性器出血
  • 妊娠が疑われる場合
  • 急性血栓性静脈炎または静脈血栓症とその既往
  • 心筋梗塞および冠動脈に動脈硬化性病変の既往
  • 脳卒中の既往

 

慎重投与ないしは条件付きで投与が可能な症例

  • 子宮内膜癌(子宮体癌)の既往
  • 卵巣癌の既往
  • 肥満
  • 60歳以上または閉経後10年以上の新規投与
  • 血栓症のリスクを有する場合
  • 冠攣縮および微小血管狭心症の既往
  • 慢性肝疾患
  • 胆嚢炎および胆石症の既往
  • 重症の高トリグリセリド血症
  • コントロール不良な糖尿病
  • コントロール不良な高血圧
  • 子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症の既往
  • 片頭痛
  • てんかん
  • 急性ポルフィリン症
  • 全身性エリテマトーデス(SLE)

 

具体的には、上記の通りとなっています。

これらの状態のときは、高次医療機関などで全身管理を評価されながら治療を受ける必要があるかもしれません。当院でも判断に迷うときは、高次医療機関に相談したり、各科診療を受けていただいたりしております。

また、5年以上の試行では乳癌、子宮頸部腺癌のリスクが上昇したという報告があることから、当院では5年までとさせていただいております。(「ホルモン補充の施行に一律に期間を決める理由はない」ともされており、5年以上ご希望の方は高次医療機関でのご相談を提案させていただいております。)

以上、安全のため、ホルモン補充療法を提案しない、また、中止させていただく場合がございますので、ご了承ください。

 

ホルモン剤を用いない、漢方も更年期障害の加療に有効です。ご検討されているかたは、ご相談ください。

なお、現在毎月第2土曜日午後に、当院へ漢方専門医に来てもらっています。漢方薬の相談をご希望の方は、ぜひご利用ください。